NZでナース:ハンドオーバーシート

日本の病棟勤務のナースだと、仕事開始の30分前に来て患者の情報収集をするのはまだ普通だと思います。もちろんその時間は給料に含まれない、タダ働きです。朝の申し送り後はすぐに薬だ、点滴の準備だ、食事だ~で情報収集している時間はないので、朝早めに来て情報収集するしかないのです。

NZでもそうかというと、それは絶対にありえないです。情報収集するのは、朝の全体の申し送りが終わってから。人それぞれですが、だいたい30分くらいで(コーヒーを飲みながら)情報収集をして、バイタルを測りに行きます。

患者の疾患や状態を知らずに申し送りを受けるのは内容が頭に入らないと思うでしょう。そんなことありません!NZにはハンドオーバーシートがあります!

日本では、患者の名前、せいぜい年齢くらいが書かれている紙をプリントアウトして、それに患者の基本情報、バイタルの件数、検査等を記入してました。

でも、NZのハンドオーバーシートは優秀。病棟によって多少違いはありますが、その内容は患者の名前、年齢、NHI(患者番号)の他に

・既往歴
・入院時の診断名、オペをしたら術式、オペ日
・CPRかどうか
・薬
・食事
・排泄
・食事
・安静度、歩行
・創
・検査
・退院予定日、退院先
・その他

等がすでに記載されてて、変更や新たな指示があればその都度書き込んでいきます。

それぞれの内容はと言うと

薬:インスリンのスライディングスケールがある、内服時の注意など
食事内容:食事の種類(糖尿病食、腎臓病食など)、とろみが必要か
排泄:自立か介助か失禁か、ストマ、IDC、パッドを使ってればその種類
歩行:自立か要介助か、歩行器を使うならその種類、整形だと荷重も
創:創や褥瘡があれば部位、ステージ
検査:検査の日時、食止めやサーフローが必要ならそれも
退院予定日、退院先:自宅退院か施設か
その他:特記すること、例えば転倒があった、検査待ち等。次のシフトでやってもらいたいこと

だいたいこんな感じで簡潔に、そしてパッと読んで患者の状態がある程度把握できるようになってます。

これがあれば初めて受け持つ患者についておおまかに理解できるし、術日や安静度がわかることでどのような看護が現在必要なのかカルテを読む前にさらっとアセスメントすることができます。そしてカルテから詳細の情報収集をしますが、ハンドオーバーシートと申し送りからの前情報があるので、カルテを読むのにもそれほど時間がかかりません。

それと、チーム全体が全患者について把握するのにも便利です。例えば、ナースコールで呼ばれて行ったけど患者のことを知らない、でもハンドオーバーシートを読めば患者の安静度や状態がわかるので介助しやすい、いちいち担当に聞きに行かなくて済みます。似たような名前の患者がいたら、どっちがどっちだっけ?と確認できる。

私にとっての利点は、英語の病名・術式を覚えることができることです。初めて聞いた病名で、内容から「日本語でたぶんあれかな?」と予測はするけど、ちょっと自信がない。そんなときはハンドオーバーシートを見てググって調べます。働き始めた頃、どういうわけかDiverticulitisが日本語で何だったか覚えられなかったのですが、ハンドオーバーシートで何度も見るたびに「diverticulitis = 憩室炎」と覚えられました。

日本でも情報収集を勤務時間開始後にやるのが理想だけど、それは日本のナースの業務内容・朝のスケジュールからして難しいと思うので、ハンドオーバーシートを使って少しでも時間削減になればいいなと思って書いてみました。

ソイラテがグラスに注がれてきたけど、グラスが薄くて熱くて持てない

「ナースの業務改善を!」と言う病院や病棟は多いけど、実際どれだけ改善されてる?と日本で働いていたとき日々思ってました。

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コメント

  1. こんにちは!日本で看護師をしており、NZ移住計画中なので、NZでの実際のお仕事の様子が知れて大変参考になりました(*^^*)ハンドオーバーシートというのは、どのように作成されるのですか?手書きですか?それがあれば情報収集もスムーズにできそうでとてもいいですね(^-^)/

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    1. Harunaさん、コメントありがとうございます!
      ハンドオーバーシートの元はパソコンに入ってて、各自でログインして情報の変更や修正できるようになっています。シフト終了前、次のシフト者のためにハンドオーバーシートをチェックする決まりになってます。日本でもこれがあれば楽だと思うのですが、電カルだとそれとの兼ね合いもあって難しいかなとも思います。
      NZの看護について少しずつ発信していきますので、移住や移住後の参考になれば嬉しいです。

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