10年前のこと

 10年ってあっという間ですね。

私は当時、都内の病院で働いてて、ちょうど感染委員会の病棟ラウンドをしているときでした。たまたま自分の病棟を見まわってて、個室の患者の部屋にいたとき、誰かが

「地震?」

と言うので、患者の点滴を見たら微かに揺れてた。まあ地震なんて珍しいことでもないし、あーくらいにしか思わなかったら、いきなり物凄い揺れが来て、患者のベッドが左右に30センチくらいずつ動く動く。「これは何!?」と思いながらベッドにしがみついていると、揺れが収まった。そして、怖くて腰が抜けてしまった薬剤師の横を走ってナースステーションに戻ると、心電図のモニターが全部床に落ちてて、棚の書類や物品もめちゃめちゃ。衝撃としか言いようのない光景。

その後、病棟内を見回ったり、片づけをして、6時くらいに帰ったような。外はもう暗かったので。

でも、帰るにも地下鉄が動いてない。「どうしようか」と話していたら運よく近所に住んでいたスタッフが自転車を貸してくれたので、池袋に住んでた同僚と二人乗りをして帰宅。途中、歩いて帰る人に「自転車いいなー」、警察に「二人乗りやめてねー」と言われたり。私は落合に住んでいたので、確か高田馬場あたりで同僚と別れて、そこから歩いて家に帰りました。

歩いている途中、公衆電話から両親の携帯と家電に電話をするけと通じず。それは地震が起きたときよりも怖くて、全身が緊張して背筋が震えて身体が冷たくなりました。コンビニに寄ろうと思ったけど、どのコンビニも食品はほぼなくなっていたことに愕然。

家に帰ると、廊下にあった冷蔵庫が動いてて部屋にれず。1人で冷蔵庫をどうにか動かして部屋に入ると、積んでいたCDが見事に崩れていたのですぐさまそれを片付けたのでした。


人生のとある1日をここまで鮮明に覚えているって日記でも書いていない限りそうないだろうし、これから何十年経っても忘れないんだろうな。そして毎年、当日のこと、その後の悲しかった気持ちが思い出されます。今日もちょっと気持ちが浮かない。


その後、私がいた個室の患者(確か90代前半)に地震のことを聞いたら「覚えているよ」と言って患者はすぐさま寝に入ったのも鮮明に覚えている。

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