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Staffing 問題

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 前回の記事を先に読んだほうが今回の記事の内容がわかりやすいです。 NZの病院の病棟ナースについて 前回の記事の最後に書いた Staffing問題とは、シフトによってナースのスキルが偏っていることです。 具体的には 忙しい朝シフトで病棟所属のRNよりEN・プールナース・エージェンシーナースが多い でも、午後シフトは病棟RN、しかもシニアナースばかり、固定メンバーが多い。 朝シフトは通常のケア(清拭、シャワー、与薬等)の他に、創処置、医者の回診(つく必要はないけどよく質問される、たまに介助もあり)、ミーティング、入退院、スペシャリストとのやりとり等いろいろあるので午後シフトよりも忙しいことが断然多いです。 私の病棟では重症患者は基本的に病棟RNが受持ちます。EN、プールナース、エージェンシーナースができない処置や点滴は病棟RN、もしくはプールRNができるならが代わりにやります。 手が回らないときはEducatorに頼む。RNがENの患者の点滴をするなら、ENがRNのケアを手伝うなどチームワークで動いてはいます。が!病棟が忙しいという理由もあるけど、RNが少ないと業務がスムーズにいかず、本当に座る暇もなく午前中が終わり、昼休憩も十分に取れないことがあるのです。 注)Educatorとはナースで、自信のない手技の指導や見守りをしてくれたり、いろいろな勉強会を開催してくれる。病棟所属ではない。 私は病棟RNがEN、プールナース、エージェンシーナースができない処置や点滴を代わりにやることに不満はありません。ただ、朝シフトと午後シフトでスタッフのバランスが取れていないことが問題じゃないかと。朝シフトはケアが多いうえに手が足りなくてひーひーしているんだから、午後シフトばかりやっている病棟シニアRNがもっと朝シフトをやるべきでしょ!とここ2,3か月、私を含む何人かのRNが思っていたのです。 先週のとある朝シフト。病棟シニアRNが私ともう1人、他のRNたちは新人若手。他にプールEN、エージェンシーRN。私がインチャージ(リーダー)で、朝から目が回る忙しさ。インチャージの私はその日の午後のシフトを見て気付いた、 また 全員病棟シニアRN。 あ~~もうムリ~~怒 すぐさまマネージャーに言いに行きましたよ。 ・朝シフトは若いナース、EN、プールナースが多いのに午後シフトはシニアRN...

NZの病院の病棟ナースについて

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「NZの病院の病棟ナース」と簡単に言うけど、実は種類・所属など結構なバラエティがあります。 ナースの種類は ・RN Registered Nurse、いわゆる正看護師 ・EN  Enrolled Nurse、いわゆる准看護師 それと Charge Nurse Manager (CNM いわゆる病棟師長)。 RNは「看護業務を総体的に責任を持つ」ということに対して、ENはNursing Council of New Zealandによると Enrolled nurses practise under the direction and delegation of a registered nurse or nurse practitioner to deliver nursing care and health education across the life span to health consumers in community, residential or hospital settings. Enrolled nurses contribute to nursing assessments, care planning, implementation and evaluation of care for health consumers and/or families/whanau. The registered nurse maintains overall responsibility for the plan of care. 日本の准看護師とあまり変わらないです。 一般病棟で感じるRNとENの大きな違いは、ENは点滴静脈注射、中心静脈カテーテル(詳しくは Wikipedia へ)を扱えないくらいで、普段の看護業務に大きな違いはありません。 でも、RN全員が静脈注射、中心静脈カテーテルを扱えるかというわけではなく、RNはそれらを実施するためにCertificateの取得が必要になります。経験年数2,3年以上あるRNの多くがCertificateを持っていると思います。 次に所属について。 ナースの所属は ・病棟 ・プール   ・エージェンシー   など。 病棟所属はその病棟で働くナースです。本当に時々ですが病棟で人手が余っているときに他の病棟に助っ...

10年前のこと

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 10年ってあっという間ですね。 私は当時、都内の病院で働いてて、ちょうど感染委員会の病棟ラウンドをしているときでした。たまたま自分の病棟を見まわってて、個室の患者の部屋にいたとき、誰かが 「地震?」 と言うので、患者の点滴を見たら微かに揺れてた。まあ地震なんて珍しいことでもないし、あーくらいにしか思わなかったら、いきなり物凄い揺れが来て、患者のベッドが左右に30センチくらいずつ動く動く。「これは何!?」と思いながらベッドにしがみついていると、揺れが収まった。そして、怖くて腰が抜けてしまった薬剤師の横を走ってナースステーションに戻ると、心電図のモニターが全部床に落ちてて、棚の書類や物品もめちゃめちゃ。衝撃としか言いようのない光景。 その後、病棟内を見回ったり、片づけをして、6時くらいに帰ったような。外はもう暗かったので。 でも、帰るにも地下鉄が動いてない。「どうしようか」と話していたら運よく近所に住んでいたスタッフが自転車を貸してくれたので、池袋に住んでた同僚と二人乗りをして帰宅。途中、歩いて帰る人に「自転車いいなー」、警察に「二人乗りやめてねー」と言われたり。私は落合に住んでいたので、確か高田馬場あたりで同僚と別れて、そこから歩いて家に帰りました。 歩いている途中、公衆電話から両親の携帯と家電に電話をするけと通じず。それは地震が起きたときよりも怖くて、全身が緊張して背筋が震えて身体が冷たくなりました。コンビニに寄ろうと思ったけど、どのコンビニも食品はほぼなくなっていたことに愕然。 家に帰ると、廊下にあった冷蔵庫が動いてて部屋にれず。1人で冷蔵庫をどうにか動かして部屋に入ると、積んでいたCDが見事に崩れていたのですぐさまそれを片付けたのでした。 人生のとある1日をここまで鮮明に覚えているって日記でも書いていない限りそうないだろうし、これから何十年経っても忘れないんだろうな。そして毎年、当日のこと、その後の悲しかった気持ちが思い出されます。今日もちょっと気持ちが浮かない。 その後、私がいた個室の患者(確か90代前半)に地震のことを聞いたら「覚えているよ」と言って患者はすぐさま寝に入ったのも鮮明に覚えている。 クリックお願いします。 にほんブログ村

急変?で看護師1年目を思い出す

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つい先日のこと。朝食の時間、受持ち患者の1人が胸痛を訴えた後、意識レベルが急激に低下。医者に報告、医者のレビュー、心電図やバイタルを取る、点滴のオーダーを受けるなどしながら頻繁に患者の様子を見に行ってました。 昼過ぎても患者の意識レベルはあまりよろしくない。患者は体位交換が必要なので、近くにいたNetP(学校を卒業したばかりのナース、しかもその日が初日だった)に手伝いを頼み、2人で患者のところへ行くと患者は入歯が半分口から出た状態で寝てる。とりあえず入歯を直そうと患者に声をかけるが、返事はない。軽く揺すってみたけど、それでも目を開けない。しかも身体が冷たいし、胸郭も動いてない・・・???その瞬間「ヤバい!」と思って、NetPの子と一緒に大きな声で名前を呼んで身体をさらに揺すったら患者がようやく目を開けたので、私は「あぁぁぁぁ…!」と思いながらNetPの子と安堵したのでした。 私がまだプールナースだったとき、ホスピタルエイド(看護助手)と一緒に患者をSara Stedyに立たせた瞬間、患者の呂律が回らなくなり、動きも鈍くなった。すぐさま「ヤバい!」と思い、エマージェンシーコールを押そうにも縦横大きな患者を支えているので手が届かない。エイドは何が起こっているのか理解しておらず完全に「???」状態なので、「エマージェンシー!誰か呼んできてー!」叫んでとエイドを走らせました。 NZでナースとして働いた3年間ですでに何度か「ヤバい!」を経験しました。この瞬間って、本当にいろんなことが頭の中で回るのです。看護師経験歴10年くらいある今だからそうなるのだろうけど、新人の頃はこの「ヤバい!」がないというか、そもそも何もわかってないというか。例えば急変に当たっても瞬時に状況を理解できない。 私がナース1年目のとき、初めての夜勤が5月か6月くらいにありました。もちろん先輩とずっと一緒に動きます。朝6時頃、先輩に何人かのバイタルを測るよう任されたので1人の患者のバイタルを測ったらエラー、患者に声を掛けても起きない。「なんでだ?」と思って、先輩のところに戻って「〇〇さん、血圧がエラーになるし、起きないんです。」と報告。そしたら先輩が走って患者のもとへ行き、私も付いていくと「他の先輩を呼んできて!」と頼まれ、そのときに私は「あ、患者は心停止しているんだ」ということに気付いたのでした。今考えれ...

何もしなかったホリデー

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 今日で10日間のホリデーが終わり! 見事に何もしませんでした。夫の親知らずの抜歯に付き添ったくらいで、家で本当にゴロゴロしてました。あ、ジムにも何回か行ったか。 予定も入れず、何もしないって最高です。好きな時に起きて、好きな時に食べて(夫がいるので完全に好きな時に食べるというわけにもいかなかったけど)、好きな時に寝る。これぞ理想の休日。 明日から仕事に戻りますが、またすぐに3連休があるので怠い勤務になりそうです。 RollestonにあるSouthern Wood Nurseryはボタニックガーデンみたいで楽しい 真っ黒になったバナナに冷凍バナナを足してバナナブレッドを作った Benson 統一 のこの牛肉料理がおいしい オンラインコースを進めようと思ったけど、やらないよね~。 クリックお願いします! にほんブログ村

ネイティブによく聞き返される英単語

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入院患者との会話では(世間話は除く)、毎回ほぼ同じフレーズを使ってます。 例えば ナースコールで呼ばれたら「How can I help you?」「Did you ring the bell?」「What's wrong?」 薬をあげるときは「I have got your pills」 バイタルを測るときは「Can I take your blood pressure/Obs?」 などなど。 その中で患者から聞き返される単語があります。比較的若い患者からはほぼ聞き返されないけど、「高齢者、もしくは耳が遠い」となると高確率で聞き返される。 それが Shower と Children 例えば 「Would you like take a shower?」 と聞いたら、take までは聞き取れるけどshowerがわからず「take what?」と聞き返される。NZでは「have a shower」が一般的だけど、つい癖で take と言ってしまう。それが悪いのか。 問診をしているときに 「Do you have children?」 と聞いたら「Pardon?」と聞き返される。私はChildrenすら通じないの・・・? 自分でもなんでこの2単語だけがよく聞き返されるのかわかりません。聞き返してこない患者も実は「発音悪いな、でもシャワー・子供のことだろう」と思って返事をしているだけかもしれません。夫や同僚にこの2単語を言っても聞き返されることはないです。私の英語に慣れているからかもしれないけど。 この2単語、似ているわけでもない。 shower  / ˈʃaʊə(r) / children  / ˈtʃɪldrən / それか「 ʃ」が苦手なのかな。 結構な頻度で聞き返されると「なぜ伝わらない・・・」と凹むこともあります。でも、これくらいでへこたれてたらKiwiと対等にはやっていけないのですぐに気持ちを切り替えます。 英語学習は続く。 クリックお願いします! にほんブログ村

日本で使うあれが欲しい - 抗生剤編 -

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NZでは抗生剤を投与するときは2通りあります。 1.注射用蒸留水をシリンジで吸って抗生剤を溶解する。そして、そのシリンジを点滴の留置針やPICCなどに接続して5分くらいかけてゆっくり投与する。これをPushと言います。 2.シリンジを使って蒸留水で溶解するまでは同じ。そして溶液を生食に混注して点滴で投与する。これはIVと言います。 日本でナースをしてたとき、1の方法で抗生剤を投与したことはありません。よっぽど水分制限しないといけない患者でもIVで投与していたような。 PushかIVかは自分で調べます。例えば、抗生剤Aを1g投与ならPushでいいけど、2gだとIVのときがある。また、IVじゃないといけない抗生剤もあります。抗生剤を何で(ほとんどが蒸留水)・何mlで溶解するか、IV用の生食は何ml必要か、投与時間も調べて計算します。 よく使われる抗生剤は何が必要か自然に覚えるのでさらっと確認する程度だけど、それでも準備に時間と手間がかかるのです。 日本でナースをしていた人なら知っている生食溶解キット。生食50mlか100mlのボトルに抗生剤のバイアルをブスっと刺して混ぜるアレ。 これね オーストラリアにもNZにもないです。誰に聞いても知らないと言うので日本だけでしか使われていないのかもしれません。 このキットを使うと ・シリンジなど余分な物を使わなくていい ・時間をかけずにさくっと準備できる ・バイアルと生食を繋げるだけなので清潔 ・点滴中もバイアルをつけっぱなしなので何の点滴が行っているかすぐわかる コスト削減、時間短縮、安全といいことばかりなんですが、どうしてこれが世界に広がらないのか。コストの問題?特許の問題? 間違いなく今一番欲しい医療用品です(=抗生剤投与の患者が多い)。 クリックお願いします! にほんブログ村